子育てが終わったあとに感じる「ぽっかり空いた時間」
「やりたいことが見つからない」。そう感じるとき、つい「自分には趣味がないから」「特別な人間じゃないから」と、自分を責めてしまいがちです。けれど、それは決して無趣味だからではありません。長い間、親としての役割や家庭のことを何より優先し、自分自身の「好き」や「やってみたい」という気持ちに、無意識のうちに蓋をして、そっと胸の奥にしまい込んできただけなのです。忘れてしまったわけではなく、ただ、感じることを長い間お休みしていた。それだけのことです。
「やっと自分の時間ができた」と思う一方で、「この時間で何をすればいいんだろう」と戸惑ってしまう。忙しさから解放された安堵と、行き先を失ったような寂しさが、同時にやってくる。それはとても自然な気持ちです。長い間、誰かのために時間を使い続けてきたからこそ、感じる戸惑いなのですから。
自分のために時間を使うことへの「小さな戸惑い」
いざ自分の時間ができても、それを素直に楽しめない、という声もよく耳にします。
習い事を始めようか、少しおしゃれなカフェに行ってみようか。そう考えた瞬間に、「こんなことにお金や時間を使っていいのかな」という気持ちが顔を出す。家族のために使うお金や時間には迷いがなかったのに、自分のためとなると、途端に手が止まってしまう。
これは、決してわがままな気持ちではありません。長年、誰かを支えることに時間を使ってきた方ほど、自分を後回しにする習慣が、身体に染みついているだけなのです。ですから、その戸惑いを無理に消そうとしなくて大丈夫です。「そう感じてしまうのも、当然だな」と、まずはその気持ちをそのまま受け止めてあげてください。少しずつ、自分のために時間を使うことに慣れていけばいいのです。
大きな目標や「やりたいこと」がなくても大丈夫
「第二の人生」「これからの目標」「新しい趣味」――そんな言葉を目にするたびに、焦りを感じてしまうこともあるかもしれません。周りの人が新しいことを始めているのを見て、「私には特にやりたいことがない」と、自分だけが取り残されているような気持ちになることもあるでしょう。
けれど、はっきりとした目標や夢中になれる趣味が今すぐ見つからなくても、何の問題もありません。やりたいことは、探そうと意気込むほど見つかりにくいもの。むしろ、日々の暮らしの中で、ふと心地よいと感じた瞬間や、少し気になったことの積み重ねから、自然に見えてくるものです。
今は「何もない」ままで大丈夫です。空っぽの時間を、無理に何かで埋めようとしなくていい。まずは、その余白を味わうところから始めてみませんか。
自分らしい「時間の使い方」を見つける3つのヒント
大きな一歩を踏み出さなくても、日々の中でできる小さな工夫があります。
1. 今日の気分で「やりたくないこと」をやめてみる
何かを新しく始めるより先に、「本当はやりたくなかったこと」を手放してみましょう。惰性で続けていた家事の一部、気が乗らない付き合い。すべてをやめる必要はありません。今日一日だけ、少しだけ手を抜いてみる。それだけで、心にゆとりが生まれます。
2. 「ちょっと気になる」をノートに書き出してみる
テレビや雑誌、街で見かけたものの中で「これ、ちょっといいな」と感じたことを、ノートに書き留めてみてください。実現できるかどうかは考えなくて大丈夫です。
たとえば筆者自身のノートには、こんな言葉が並んでいます。
- ダンスを習う(昔から少し気になっていたけれど、挑戦できていなかったこと)
- 全国の公園巡り(緑の中でぼーっと過ごす、自分だけの贅沢な時間)
- ホテルでモーニングビュッフェ(朝の静かな時間に、ちょっと特別な気分を味わう)
どれも今すぐ叶えられるかどうかはわかりません。それでも、思いつくままに書き出してみると、自分でも気づいていなかった興味の方向が少しずつ見えてくることがあります。
3. 1日15分だけ自分のための時間を作ってみる
まとまった時間を取ろうとすると、かえって難しく感じてしまうものです。まずは1日15分だけ。お茶を丁寧に淹れてゆっくり飲む、好きな音楽を聴く、窓の外をぼんやり眺める。それだけでも、立派な「自分のための時間」です。
ノートに書き出した夢も、いきなり大きな行動を起こす必要はありません。ほんの小さな一歩から始めてみましょう。
- 「ダンスを習う」 → まずはYouTubeでダンス動画を1本観てみる
- 「公園巡り」 → 今週末、近所の少し大きめの公園へ散歩に行ってみる
- 「モーニングビュッフェ」 → ホテルの朝食プランをスマホで検索してみる
夢と自分の間にある距離を、うんと小さな一歩で埋めていく。それだけで、書き出した言葉は少しずつ現実に近づいていきます。
焦らず、あなたのペースでこれからの時間を楽しもう
これからの時間の過ごし方に正解はありません。誰かと比べる必要も、急いで答えを出す必要もないのです。
ぽっかり空いた時間を持て余す日があってもいいし、何もせずぼんやり過ごす日があってもいい。そんな小さな積み重ねの中から、あなたらしい時間の使い方は、きっと少しずつ形になっていきます。
もし気持ちに少し余裕が出てきたら、次は身のまわりの暮らしを整えてみたり、これまで触れてこなかった新しいことを試してみたりするのもおすすめです。大きな変化でなくてもかまいません。あなたのペースで、これからの時間を、あなたらしく楽しんでいただけたらと思います。


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